住宅金融公庫の改革

住宅金融公庫は、住宅を購入したり、新しく建てたりする方に、必要な資金の融資を行う特殊法人で、これまで長期・固定・低利の融資を行い、日本の住宅事情の改善に大きな役割を果たしてきました。
しかし、現在、政府では、住宅金融公庫を含めた特殊法人改革が検討され、8月10日には、個別法人ごとの見直し案が、行政改革推進事務局から提示され、平成13年中には、「特殊法人等整理合理化計画」を策定し、集中改革期間中(平成13年度から平成17年度まで)に改革を実施することとしています。
国土交通省はこの趣旨にそって、住宅金融公庫の業務の見直しを行い、『住宅金融公庫の改革の基本的方向』を取りまとめました。
次の表は、これらを整理したものです。

行政改革推進事務局の見直し案 国土交通省の考え方 住宅金融公庫の改革の基本的方向

貸付事業については、利子補給を前提としないこととする。その上で、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という原則の下に、貸付自体は民間金融機関に委ね、民間金融機関の債権を買い取り証券化するなどの業務形態を原則とし、真に政策的に融資が必要なものについても、融資条件(対象、限度額、金利等)を適切に見直す。

(説明)
「貸付事業については、利子補給を前提としないこととする」
  住宅金融公庫の補給金は、国民の皆様のマイホーム取得を支援する低利融資を政策的に実現するために必要なものですが、行政改革推進事務局案は、これを前提としない形態に制度を見直すべきである、というものです。
「貸付自体は民間金融機関に委ね、民間金融機関の債権を買い取り証券化するなどの業務形態を原則とする」
  行政改革推進事務局案は、民間金融機関の住宅ローンを買い取り、証券化するという手法でバックアップすること(民間住宅ローンの証券化支援)を業務の原則とするべきである、というものです。
「真に政策的に融資が必要なものについても、融資条件を適切に見直す」
  行政改革推進事務局案は、上の2で提言されているように、住宅金融公庫が民間住宅ローンを買い取り、証券化するという業務形態を原則とするとしても、政策的に必要性の高い分野については引き続き直接融資を実施することになりますが、その場合も融資条件(融資対象、融資額、金利等)を見直すべきである、というものです。

補給金については、資産・負債総合管理(ALM)への取組等を通じて縮減を図っていきます。しかし、現在の補給金は過去の高金利時の借入のために発生しているもので、大幅な削減は直ちには困難です。
また、補給金は経営上の赤字を補填するものではなく、高金利時においても、中堅勤労者が適正な負担で住宅取得を行うために、補給金は必要不可欠です。  
したがって、もし補給金が廃止された場合には利用者の方々の金利負担が過重なものとなり、高金利時には住宅建設が大幅に落ち込むことが懸念されます。

民間住宅ローンの証券化支援については今後具体化に向けた検討を行います。
しかし、現状では民間金融機関の住宅ローンの証券化支援を直ちに原則とすることは以下の理由により困難です。

我が国の長期債の流通市場は、その規模が小さく、未整備であることから、公庫が平成12年度より発行を開始している資産担保証券の発行量を拡大して、まず住宅ローン債券市場の育成を図ることが必要である。
(資産担保証券発行残高は米国の2200分の1)

住宅ローン供給が民間金融機関により行われることから、経済情勢に関わらず中 ・低所得者へ安定的に資金供給できるかが懸念される。

住宅ローン利用者にとって金利上昇を招く懸念がある一方で、金利上昇による負担を軽減するための措置が講じられていない。
(例えば、米国の住宅ローン利子所得控除制度の減税額は約6.9兆円)

預金等による資金を潤沢に有する日本の民間金融機関の証券化ニーズは明らかではない。
(米国では証券化支援の対象となるローンは、商業銀行では行われておらず、単独では資金調達能力がない小規模事業者により供給されている。)

証券化支援のための複数の組織、専門家が必要となり、財政負担、行政組織の複雑化、肥大化の要因になると懸念される。

長期・固定・低利の直接融資は、中・低所得層への融資、都市再生など政策的必要性が高いものへ重点化する中で、来年度に貸付限度額等を見直します。

(1)

公庫融資の絞り込みと民間との協調融資の推進

融資戸数を今年度55万戸からニーズを的確に見据えた必要戸数に縮減します。

融資率の上限※1(現行10割)を引き下げるとともに、経済対策において増額されてきた特別割増融資額※2(現行800万円)を段階的に縮減します。

※1 融資率の上限 : 実際の住宅の取得額に対する融資率の上限を原則として8割とされていましたが、平成9年11月の経済対策において返済能力の十分な者に対して臨時的に撤廃することとされ、現在に至っています。
※2 特別割増融資額 : 地域別、規模別などにより算出される基本融資額に加えて、経済対策として融資額を増額しているものです。

融資対象は、真に公庫融資の対象とすべき階層・分野(中低所得者、都市再生等)への重点化を検討します。

民間との協調融資方式の導入に向け早急な取り組みを行います。

(2)

公庫の住宅ローン債権証券化の大幅拡大

住宅金融公庫が自ら発行する住宅ローン債権の証券化※3を逐次拡大し、住宅ローン債権の証券化市場の活性化を図ります。(平成13年度から平成17年度の5か年で1兆円の発行規模にします。 累積で3兆円の証券化市場を形成します。)  
また、これにより、資産・負債総合管理(ALM)※4の的確な実施を通じて、繰上返済に伴う将来の補給金リスクの軽減にも寄与する。

※3 住宅ローン債権の証券化: 公庫融資のキャッシュフローを裏付けとして債券(資産担保証券)を発行し、金融市場から資金を調達することです。
※4 資産・負債の総合管理(ALM): 金利リスク等を回避しながら、資金調達コストの削減、資金運用の効率化を図り、収益を安定的に極大化するために、資産と負債を総合的に管理する考え方です。
(3)

民間住宅ローン債権の証券化支援業務の検討

民間金融機関の長期・固定の住宅ローン債権の証券化支援について、特殊法人集中改革期間中の 実現に向けて、今後検討を行います。

なお、現下の経済情勢にかんがみ、失業者の住宅ローン負担について、住宅ローン返済困難者対 策の拡充を検討します。

この見直し案等に関する説明は、行政改革推進事務局、国土交通省および住宅金融公庫等の資料を基に作成しました。
詳しくは、それぞれのホームページをご覧ください。
行政改革推進事務局  国土交通省  住宅金融公庫


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